Yahooの爆速リーンスタートアップは間違っている
真の爆速は速すぎて見えない」 ヤフーにおけるリーンスタートアップの実践。IBM Innovate 2013
読んだ。間違った認識をしてしまう人が増えそうなので書いてみる。
記事において
ユーザー体験は理不尽に減衰する
フィードバックのサイクルが速ければ速いほど、面積を増やせます。 リーンスタートアップもアジャイル開発もDevOpsも、すべてのモダンな方法論は、このスコープ中のスループットを最大化する、これに集約されると思います。
の部分。リーンスタートアップの概念をスループット最大化に持って行くのは間違っている。
リーンスタートアップのコアの概念は、以下のように構築ー計測ー学習のプロセスを爆速で回して、最適なユーザー体験を模索していくことだ。
構築フェーズではユーザーが、どんなニーズを持っているのか?の仮説を上げその中で一番重要なものをチョイスする。そのニーズが正しいものなのかを検証するためのサービス、機能を開発しリリースしユーザーに使ってもらう。 ex)ユーザーはオンライン上でもっとコミュニケーションしたいはずであるという仮説のもと、チャット機能をつけてみる
計測フェーズでは、仮説が本当に正しかったのかチェックする。つまり、リリースした機能によって、ユーザーの動きはどう変化したのか?ユーザーに取ってプラスになったのか、マイナスになったのか?ユーザー体験は向上しているのか?を、具体的な数字から評価する。 ex)チャット機能をつけた結果、アクティブユーザー率は全く変化していないし、サービス離脱率も減少していない。もちろん課金率もほとんど変化していない。
学習フェーズでは、計測した結果から得られたことを学ぶ。 ex)顧客は我々のサービスにコミュニケーションを求めていると仮説を立てたが、実はそうではないらしい。という学びを得る。
学習した情報をもとに新たな仮説を立てて1に戻る
このようにリーンスタートアップではスループットの最大化を目的にするべきではない。
フィードバックのサイクルを爆速で回すことによって得られるのは、ユーザーの真なるニーズでなければいけない。このサイクルによってユーザーが本当は何を欲しているのか、欲していないのかを学んで行くのです。(でなければサイクルを回す意味が無い)
その積み重ねの結果、学んだ情報をもとにユーザーを深く理解し、高いユーザー体験のクオリティを提供出来るようになって行くのです。 サイクルを爆速で回す理由は、短期間のうちにユーザーを深く理解し、ユーザーに価値を提供し、利益を生み出すためです。
リーンスタートアップとユーザー体験の減衰と結びつけるのはナンセンス。 全く別の話になるんじゃないかな、と思う訳です。
追記 11/6 11:40
縦軸をユーザー体験として、それをスループットと読んでいるだけ。誤読を煽る可能性はあるけど、原文は別に間違っちゃいない。
という意見を頂きましたが、たしかに正しいことに見えます。が、実際どうやってサービスを改善していくのか?という部分に対しての話がまるっと欠落していました。あの記事を見ると、とりあえず爆速で機能を追加していけー!という結論にいたってしまいそうでした。そうではなく、ユーザーを理解し学びを得なければ意味が無いんです。計測と学習について触れていなかったので 間違っていると言ってみた訳です。